ホームページ運用で多い3つの課題(連絡不能・保守費不透明・業者変更不可)

Webサイト運用に係る課題意識
当社は、東京都あきる野市を中心に、地域の事業者のホームページ(以下、Webサイト)の制作・改修・運用支援に関わってきました。実のところ、筆者の専門は「デザイナー」でも「フロントエンドエンジニア」でもありません。主戦場は、新規事業プロジェクトやシステム開発プロジェクトのPM(プロジェクトマネージャー)、そしてBPR(Business Process Re-engineering|業務改革)です。
それでも、「ちょっと今のホームページをなんとかしたくて…」という相談をいただく機会が多く、試行錯誤しながら対応する中で、制作または改修に携わった案件は15件近くになりました(2026年1月現在)。いまでは、コーポレートサイトの制作、ビジュアル重視のランディングページ(LP)、ECサイトまで幅広く対応しています。
一般的に「ホームページ制作・改修」というと、
- 企業ビジョンを示すため、よりクリエイティブなデザインにする
- アクセス解析に基づきUI改善を行い成果を伸ばす
といった「0を+(プラス)にする」攻めのテーマが想像されやすいと思います。
しかし、地域の現場で多いのはむしろ、
- そもそもブログの更新ができない
- 何にいくら払っているのかわからない
- 制作会社を変えたくても変えられない
といった「-(マイナス)を0に戻す」課題です。高度なUI実装やSEO施策以前に、コストを必要十分にし、現場スタッフが“自走”できる運用状態をつくることが先決になるケースが少なくありません。
地域の現場で起きている事象
ここからは、実際に相談の多い「ホームページ運用のつまずき」を整理します。特に、地域企業のWeb運用で問題になりやすいのは次の3点です。
課題①: Web制作会社の担当者と連絡がつかない
数年前に制作会社へWebサイト制作を依頼したものの、担当者の事情が変わり連絡が取りにくくなった、というケースです。情報発信をしたくても、自社では更新できず、担当者とも連絡がつかないため八方塞がりになります。
更新が止まるだけならまだしも、地域企業ではWebサーバーとメールサーバーが同一になっていることも多く、トラブル時にメールが使えなくなり、復旧の連絡自体が困難になるケースもあります。結果として、「ホームページの問題」が「業務停止リスク」に波及します。
よく聞くお悩み
- 「WordPressの管理画面に入れない」
- 「更新を頼みたいが返事がない」
- 「メールが急に送受信できない」
対応策
- 自社でWeb運用・サーバー運用担当者を育成する
- すぐに連絡が取れ、かつ現地へ訪問することも可能なWEB事業者へ相談する
課題②:不透明な運用費用を払い続けている
Web制作・運用の見積は専門用語が多く、内容の妥当性が判断しづらい領域です。たとえば、次のような項目が並んだ見積を見て、経営者が「必要/不要」「適正価格」を即断するのは簡単ではありません。
- Webページデザイン:100,000円
- Webページ制作(トップページ、採用ページ、概要ページ):150,000円
- コンテンツ更新(年間)毎月2記事更新:240,000円
- サーバー・環境保守運用(アクセス解析レポート込み)(年間):360,000円
- サーバー・ドメイン実費(年間):30,000円
見る人が見れば、
- どのようなコンテンツを更新するのか。素材はこちら側から提供が必要なのか
- 高度な解析・レポートが本当に必要か
- 保守運用費が“何をする費用なのか”不明確ではないか
といった論点に気づきますが、専門用語の壁が高く、検証が難しいのが現実です。以下のようなチェックリストを使い、「何にいくら支払っているか」「どこまで対応してくれるか」を丁寧に擦り合わせると良いでしょう。
対応策:運用費用で確認すべきポイント(チェックリスト)
- コンテンツ制作の作業内容および範囲:コンテンツの文字数/素材提供の有無
- 保守費に含まれる作業範囲:更新回数/バックアップ/セキュリティ対応/障害対応の有無
- レポートの成果物:月次レポートの中身
課題③:Web業者の切り替えができない
「不満があるなら業者を変えればいい」と言われがちですが、現実には簡単ではありません。理由は明確で、ドメイン、サーバーの管理権限をWeb業者が握っているケースが多いからです。
ホームページの乗り換えには、概ね次のような作業が発生します。
- 現行サイトのデータをエクスポート
- 新サーバーの用意、環境構築(SSL含む)
- ドメイン(DNS)を新サーバーへ向ける
- メールの設定移行(必要な場合)
- 表示・フォーム・リダイレクト等の動作確認
この一連を、ユーザー企業側が主導して進めるのは容易ではありません。その結果、「本当は変えたいが、何から始めればいいかわからない」という状態に陥ります。
また、補助金等を活用してホームページを制作したケースでは、交付対象期間中は無料だった運用費が、終了後に“使っていない機能”込みで月数万円請求される、といった相談も実際にあります。この場合、サーバー切り替えと運用の見直しで、実費+必要最小限の運用に圧縮できることがありますが、やはり主導権がないと判断も実行も難しくなります。
対応策
- ドメイン・サーバーの権限を自社へ移行する(自社で難しい場合、信頼できる事業者へ作業を委託する)
まとめ:多くは「マイナスを0に戻す」から始まる
ホームページ制作・運用は、本来「集客や採用の成果を伸ばす」ための投資です。しかし現場では、
- 連絡がつかず更新できない
- 内訳が不透明なまま保守費を払い続ける
- ドメイン・サーバーを握られ乗り換えできない
という、運用の前提が崩れている状態が少なくありません。
重要なのは、UIやSEOの前に、
「必要十分なコストで、現場が回る運用」
「自社側に主導権がある状態(ドメイン・サーバー・権限)」
を取り戻すことです。
お問い合わせ
当社、TYDI|(株)東京山側デジタル推進機構は、地域密着型のIT事業者として、Web制作、運用や業務効率化システムの開発を行っています。お気軽にお問い合わせください。
著者

足立恭平
TYDI|(株)東京山側デジタル推進機構
代表取締役
同志社大学政策学部卒業後、大手・ベンチャーコンサルティング会社を経てフリーランスとして独立。東京山側へ移住後、地域のデジタル化を推進したいという想いから、TYDI|東京山側デジタル推進機構を創業。
地域企業のWeb制作、Web運用、SNS運用、業務効率化システム開発などを行う。また、地域資源を活かし、都心部の人材を対象とした越境学習事業を行う。
